今回は普段僕が行っているミックスに対しての考え方や手法を出し惜しみなく紹介していきたいと思います。
僕自身今まで色んなバンドさん・アーティストさんのミックスをさせていただいてきましたが、最初から何もかも上手にレコーディングやミックスを出来てた訳ではありません。
当初は、情報源であるネットや雑誌などから【ミックスのやり方】というような情報を掘り出し、実際にミックスをしながら『あーでもない、こーでもない』と言いながらやってきました。
今でこそミックスのある程度のことを説明できるようになりましたが、まだまだ僕自身発展途上な状態です。
しかし、ミックスを実際にやってきて得た知識や経験を元に皆さんに共有できればこれからミックスをしたい方やアーティストさんたちの役に立てるんじゃないかと思いこの記事を書かせていただきました。
現代のミックスとは?
現在世の中で流れている音源のほとんどのミックスは、ステレオであるにも関わらず奥行き感があるように感じるミックスが主流だと思えます。
分かりやすく言うと各パートの位置付けがハッキリしており臨場感があるような曲に仕上げられているという事です。
ボーカルが近くてギターが遠くから聞こえて感じるようなイメージですね。
一昔前のミックスでは現場がアナログコンソールだったためEQのつまみを使って大まかな調整しかできませんでした。
え、じゃーアナログミキサーは使わない方が良いんですか?
もちろんアナログコンソールを否定するわけではありません。
アナログ特有の膨よかさ・倍音の豊さを利用した使い方もあるのでデジタルにはないメリットがたくさんあります。
しかし今現在流通しているアーティストの音源はほとんどDAWソフトで作られています。
DAWソフトでの編集は非常に細かな調整が効くので、編集次第でよりリアルでまるで目の前で演奏をしてくれてるような演出を再現できます。
とは言っても誰でもすぐに音楽市場に流れてるようなミックスは出来るのはなかなか難しいですよね。
今回は意図通りのミキシングを出来る様になるために『どんな考え方を持ってミックス作業と向き合えば良いか』『どうすれば迷うことなくゴール辿り着くことができるか』をお話をしていきたいと思います。
難しいお話は極力使わず分かるように説明してきますので最後まで読んでいただければ嬉しいです。
それでは本題に入りましょう!
ミキシングは弁当の装飾作業
まずミックス作業を行うときは『箱の中に敷き詰められた楽器のバランスを整える』ということを先頭に置いて作業を進めることがとても大事になってきます。
箱とは【決められた音全体の容量】のことで、これを超えると音が割れてしまいます。
そのため決められた箱の中に各楽器の位置や音質を決めていくことになります。
ですが、そこでなかなかプロのような音源にならずチープな仕上がりになってしまうような経験ありませんか?
僕はたくさん今まで何度もそんな経験をしました。
もちろん闇雲になんとなくな感じで音量や音質をイジってもプロのような作品には辿り着くことができません。
じゃぁどうやったらプロのような音源に近づけことができるんですか?
立方体をイメージして音を配置する
それはミックスの箱を立方体に例えて音の配置や音質を整えることがキモになってきます。
2Dのような平面ではなく、奥行きも意識した3D立方体ですよ!
イメージとしては以下のような画像です。
「ボーカルは前、ドラムは後ろ、シンバルは上」と言ったように四方八方に音の場所を動かしていくことになります。
ところが音はイラストのように視覚的に見えるわけではないので非常にイメージが湧きにくいかと思います。
『ミックスの迷い人』にならないためにも実は対策はあります!!
配置の設計図を書く
そこで、このように各楽器をイメージ通りに迷う事なく動かしていくためには予め紙などに【設計図】を書いておくことが大切です。
もし設計図がないままミックス作業を進めていくと段々耳が疲れてしまい何が正しいのか分からなくなってしまう可能性があります。
なので簡単でも良いので設計図は予め作ることをオススメします。
設計図を立方体に落とし込む
正面と真上からの設計図が出来たら立方体に照らし合わせてみましょう。
するとイメージがさらに具体化されるはずです。
ここまでイメージが固まるとミックスに迷いなく作業を進めることができます。
若干面倒なことではありますがイメージを具現化するためにはこの作業がとても大切です。
相対比較的なミックスをしよう
各楽器をバランスよく調整したい時、各楽器を2つのみ比較しながら調整するようにしましょう。
なぜなら一気に多数のパートを鳴らしながら調整すると各パートの距離感が見えづらくなって意図しないバランスになる恐れがあるからです。
そのためまず最初に目安となるパートがまず1つ必要になってきます。
ミックスエンジニアさん人それぞれ目安にするパートは違うのですが、僕の場合ボーカル主体でミックスするようにしています。
なぜなら、ボーカル有りの曲はボーカルメインのものがほとんどです。
1番先頭であるボーカルを目安にすれば他のパートの位置を決めるのが非常に分かりやすいからです。
東京スカパラダイオーケストラや星野源さんの作品を手掛けるレコーディング・エンジニアの渡辺省二郎さんもこの手法を使ってるようです。
例えば曲の空間を1つの箱にしてその中で演奏しているとします。
そして、DAWソフトには必ず各パートにソロモードが付いています。
そこで例えですがボーカルとギターのみソロにして音量調整やイコライジングを行っていきます。
次にボーカルとベースのみをソロにして調整します。
このようにボーカルを主軸に他のパート1つ1つ比較しながら調整していくと位置関係を正確に押さえていくことができます。
よりリアルな空間を作り出す
3D空間のような立方体を表現するためにはいかに奥行感のある表現できるかがクオリティのカギを握っています。
では一体どのようにして奥行き感を出していくのでしょうか?
奥行き感を出す手法としては先ほどの相対比較法で進めることになります。
視覚的にイメージすると分かりやすいので図を使って解説していきたいと思います。
まず図のように同じ大きさ(音量)のボーカルとギターがいるとします。
それではボーカルを前にしてギターを後ろに移動してもらいましょう!
この場合音量調整でギターの音量を下げてボーカルの後ろに配置することになります。
が、よくあるのが音量を下げたとしてもギター音の輪郭がまだハッキリしているためボーカルから遠ざからない事があります。
そこで、この時音量調整だけでは表現しきれない部分をイコライザーやコンプレッサー、リバーブを使って背後の楽器をボカしていく事になります。
要は、遠い音は高音域が少ない・音の輪郭がない・残響音があるという特性があるのでそれらのエフェクターを使って再現していく。
そのような作業を繰り返して進めていきます。
要はまるで一眼レフカメラで撮ったような演出を再現していこうという事です。
今回はイメージだけの解説ですが、具体的な手法は次回の記事で解説していきたいと思います。
まとめ
いかがでしたか?
今回はイメージ通りに仕上げるためのミキシング法を解説しました。
ミキシングには様々な手法がありますが、どんな優れたプラグインやハードを使うにしても使い方を知っておかないとイメージしたと通りのゴールまで辿り着くのは難しいかと思います。
よく雑誌やネットでは「キックは60hz以下はローカット」「スネアのアタック部分なる1khzをちょっと持ち上げる」など各楽器ごとに細かく紹介されています。
実際に試しても曲全体で通して聴くとイマイチパッとしないと思ったことは僕だけではないはずです。
それは楽器はどれも録り方次第で聞こえ方が全然違ってきますので、曲に対しての処理も変わってきます。
なので曲に対してベストな処理ができるように柔軟に対応していく力が大事なんじゃないかなと思います!
次回からはイコライザー 、音量調整の具体的な使い方を解説させていただきますのでお楽しみに!
どうも宅録クリエイターのHaike(@Haike_Guitar)です。