今回はミックスの確認用モニタースピーカー「Auratone 5C」の紹介をしたいと思います。
このスピーカーは1970年~1980年代にかけてメジャーなレコーディングスタジオ、放送局などで、必ずといって導入されていたほどの定番のコンパクト・モニタースピーカーです。
通常のモニタースピーカーと違ってシンプルな外観ですが機能面も非常に利便性が高くミックスの制度を上げるために役立つツールです。
さてAuratone5Cはどんな役割を持つのか通常のモニタースピーカーと比べてどんな違いがあるのかレビューも兼ねて解説していきたいと思います。
ミックスの精度が向上する
Auratone 5cは通常のモニタースピーカーと違って再生する音の周波数帯域が狭いです。
具体的に言うと低域と高域の部分がバッサリ切り取られているんですね。
そうすることによって一般家庭用のステレオやスマホのスピーカーに近い環境で再生することができるのでミックスの最終確認用として大いに役立ちます。
これはAuratoneの大きな特徴でありこの特性を生かして素晴らしいミックスに仕上げることが可能になります。
でもモニタースピーカーの方が再生帯域が広くて低域も高域もよく出ててるから臨場感があって良いんじゃないですか?
確かにそうですが、作った音源を聞くリスナー達は皆モニタースピーカーを使って聞くわけではありません。
大体がスマートフォンの内蔵スピーカーだったりカーステレオだったりするんじゃないでしょうか。
ミックスするエンジニア側としてはiPhoneやカーステレオでも意図した通りのミックスをリスナーに届けたいですよね?
このAuratone 5Cはリスナーの環境に近い再生音を出すことができるので、「別のスピーカーで聞くとボーカルが小さく聞こえる…」「中域が小さくてスカスカに聞こえる」等のトラブルを避けることが期待できます。
僕も実際このスピーカーを導入してからそのようなトラブルが少なくなりました。
それではモニタースピーカーと比較してAuratone 5Cがどのような特色を持っているのか詳しく見てみましょう。
今回比較するモニタースピーカーはYAMAHA HS7です。
大きな違いは先ほど申し上げたように周波数特性です。
Auratone5C : 75Hz-15,000 Hz
YAMAHA HS7 : 43Hz-30,000kHz
数値的にもAuratone 5Cの方が周波数特性が狭いですよね。
実際に再生音を比較してみるとAuratone 5Cの方が確かにしょぼく聞こえます笑
ですが中域辺りの聞こえ方ははクセがが無く家庭用のラジカセやiPhoneと比べてとてもナチュラルで聴き取ることができます。
ミックスをしていると各トラックの中域が混雑してどのトラックをが前に出ているか分からなくなることがあります。
そこで中域メインで鳴ってくれるAuratone 5cで確認すれば「どのトラックの中域を削れば良いか」「どのトラックを前に出せば良いか」がはっきりします。
なのでワンランク上のミックスを目指すならこのAuratone 5Cの導入をオススメします!
どんな環境で鳴らしても同じ音が出せる
Auratone 5Cは密閉型なので部屋の広さに関係なく同じ音を再生できます。
こうしたことで安定したミックスを行うことができます。
モニタースピーカーの場合、背面が開放型のものが主流です。
その場合壁に近すぎると余計に低音が出てしまったり、中高域の鮮明さが失われることがあるんですよね…
密閉型は壁との距離を気にしなくて良いので、空間が狭い部屋でもスピーカー本来の音を再生することが可能になります。
とは言ってもスピーカーの高さには気を遣いましょう。
耳の高さと同じ高さに合わせて設置することで。しっかりと鮮明な再生音を聞くことができます。
各トラックの音量感が明白に感じる
Auratone 5Cは高音域と低音域がバッサリ切り取られているということで混雑しやすい中音域をコントロールしやすくなります。
これはどういう事か具体的に解説してきましょう。
ボーカルやドラム、ギターなどどの楽器も中音域が集まりやすいトラックです。
その各トラックをミックスするわけですが、どの楽器を前に出すかしっかりと位置付けを意識したイコライジングが出来ていないと中音域が混雑してそれぞれの楽器が聞こえず埋もれしてしまうことがあります。
モニタースピーカーを使って中音域の調整をすることも可能ではありますが低音域や高音域も一緒に再生されているので「中音域が充分カバーされている」と錯覚しやすいんですよね。
もちろんその状態のまま他のスピーカーやカーステレオで聞くとしょぼく聞こえてしまいます。
じゃー中音域だけ聞こえる環境にすれば錯覚を起こさずにコントロール出来るんじゃないですか?
そう!そこでAuratone 5Cの出番です!
冒頭でお話したようにAuratone 5Cは高音域と低音域がバッサリ切り取られてるので中音域だけ再生してくれるんですね。
Auratone 5Cで音量調整・ミックス等を行えればリスニング環境による聞こえ方の相違を減らすことが可能になります。
こんな人は買わない方が良い
ここまではAuratone 5cのメリットをお話ししましたがもちろんデメリットもあります。
実際使ってみて感じたデメリットを出し惜しみなく解説していきましょう!
価格が高い
まずなんと言っても価格が高いことです。
スピーカーペア売りだと5万円ほどします。
専用アンプも5万円ほどしますので10万円はすると思って良いでしょう。
なのでコストを抑えたい方は中古で探すか楽天のスーパーセールなどでポイント還元を使った買い方をすると多少はお得になるかと思います。
音楽編集やミックスがまだ慣れていない人
音楽編集を始めてまだ間もない方にはあまりオススメしません。
なぜなら初心者の方には各帯域の音を聞き分けて調整するのには聞き方にコツがあり難しいからです。
Auratone 5Cはわずかな音の違いを聞き分けてイコライザーやエフェクトを調整するのためのものです。
ですが音質の違いを感じる耳が出来上がればこのスピーカーを使うと上達が早いかと思います!
もしまだミックスに自信がない方はモニターヘッドフォンを使ってミックスをすることをオススメします。
なぜなら部屋の鳴りに関係なく音質の変化に気づきやすいからです。
オススメできるモニターヘッドフォンの紹介をしていますので興味ある方はぜひ参考にしてみてください。
開封の儀
それでは恒例の開封の儀を行いましょう!
今回はアメリカから直輸入で購入したので到着まで1ヶ月半ほどかかりました。
「Auratone」のラベルが眩しいですね笑
Auratone専用のパワーアンプも同時に購入したので2ケースで届きました!
しっかりと丁寧に梱包されていますね。
Auratone 5Cスピーカー本体
ではスピーカーから見ていきましょう!
どうですか!キューブ型で美しいフォルム!
写真で見るとコンパクトそうに見ますが意外と大きいです笑
でもパッシブ仕様なので重さはスピーカー1個辺り2kg程度です。
見た目ほど重くはありませんね。
このスピーカーはパッシブなので背面がとてもシンプル。
余計な機能はついておらずケーブルのプラスマイナスのみです。
バナナプラグを差し込んだり配線を巻いて固定することも出来る仕様ですね。
後述でも説明しますが今回はバナナプラグを使ってケーブルを固定しました。
専用パワーアンプ “A2-30”
ザッと箱から出して並べてみました。
A2-30パワーアンプはAuratone 5Cと同様コンパクトに作られており大きさはハーフラックと同じ大きさです。
なので場所を気にせずデスクや収納棚に設置できます。
またラックマウントキットも同梱されているのでラック内に収納することも可能です!
- アンプ本体
- 電源コンセント
- ラックマウント用金具
- ゴム足(滑り止め用)
個人的にラックマウント用の金具が付いていたのは非常に嬉しかったです。
ハーフラックサイズなので手のひらより少し大きいかなというくらいの大きさです。
全面は電源確認用のLEDランプが付いてるだけでした。
めちゃくちゃシンプル!!
背面も入出力端子と電源ボタンのみの非常にシンプルな構造です。
- 入力 バナナプラグ端子LR
- 出力 XLR端子LR
- 電源ボタン
ラックマウントキットはラック内に収めるための付属品です。
ラック内に収めたい場合は専用ネジを使って取り付ける必要があります。
取り付け方は後述で説明させていただきます。
audio-technica AT6099 [ハイブリッドインシュレーター(6個1組)]
今回はスピーカーの能力をしっかり発揮させるためにインシュレーターも購入しました。
これをスピーカーの足元に設置することで音の明瞭感がはっきり伝わるようになるのでミックスの精度が上がります。
AT6099
もちろんAuratone5Cに限らず他のモニタースピーカーにも効果を充分発揮できるのでミックスの精度を上げたい方にはオススメの一つです。
スピーカーとパワーアンプの設置
それでは早速Auratone 5C(スピーカー)とA2-30(パワーアンプ)の設置をしていきましょう!
まずAuratone5Cを仮置きしておきます。
このあとにケーブルを繋げる作業があるので位置は大体で大丈夫です!
今回はラック内に収納したいのでラックマウントキットを使用します。
ラック内に納めるとデスクの上が嵩張らないので非常に助かります。
まず下記の画像のようにA2-30本体側面にある六角ネジを外します。
割と小さめのネジなので外す時に無くさないようにしましょう。
補足ですがラックマウント取り付け用ネジが付属されてあります。
なので最悪無くしても使用には問題ありません。
ですが譲渡する場合には受け取る人が困ることがあるので出来るだけ無くさないようにしたいものです。
ラックマウント用の金属プレートを固定します。
そこで必要なので専用ネジです。
元々アンプ本体に使われてた【皿ネジ】と比較するとラックマウント用は【鍋ネジ】になっています。
そのラックマウント用のネジで固定すれば完成です!
次にケーブルを繋げていきましょう!
まずXLR端子を使ってオーディオインターフェイスとアンプを繋げます。
今回アンプの入力側で使ったケーブルは【Belden 88760】です。
オーディオ用のアナログケーブルとして有名です。
音質が非常にフラットで色付けがない印象ですね。
ケーブル自体が切り売りで売られているので自作してコストを抑えることも可能です。
自作ケーブルの作り方も紹介しているので興味ある方はぜひ参考にしてみてください。
次にアンプ出力側は【Belden 8460】を使って繋げました。
そのケーブル(Belden8460)をそのままスピーカーと繋げていきましょう!
今回はアンプ出力側の端子がバナナプラグ仕様でしたので、自作でケーブルをバナナプラグに加工しました。
もちろんバナナプラグに加工された市販品もありますがコスト抑えるために自作しております。
バナナプラグの作り方も紹介していますので興味ある方はぜひ参考にしてみてください。
これでケーブル処置は終わりです。
スピーカーの設置
最後にスピーカーの設置です。
Auratone 5cは通常のスピーカーと同様で「耳と同じ高さ」「スピーカーの間隔は均等」にすることが大事です。
詳しくは別記事で解説していますのでこちら参考にしてください!
あとはラック内に納めて完成です。
まとめ
いかがでしたか?
Auratone 5Cは通常のモニタースピーカーと違いミックスの最終確認用として使われます。
モニタースピーカーひとつだけだと他の環境での聞こえ方と比較が出来ないので偏ったミックスになってしまう可能性があります。
そのようなトラブルを減らすためにもAuratone5Cは非常に役立つアイテムです。
ワンランク上のミックスを目指すならぜひ導入してみましょう!
どうも、宅録クリエイターのHaike(@Haike_Guitar)です